ドリルは穴あけ用の工具で、その材質はほとんどが高速度鋼(ハイス)である。高速度鋼はねじりや曲げに対してとても強く、必要に応じて表面に超硬合金処理を施す。直径3mm以下のドリルは0.01mm刻み、3mm-13mmの間は0.05mm刻みに市販されている。しかし必ずしも加工者側が全種類のドリルをもっているとは限らないので、必要がなければ少数1桁に丸めた値の穴径を指示するのが無難である(例えば2.47よりは2.5を選ぶ)。


図 ドリルの各部名称と機能


図 ドリル加工における設計上の留意点

 1.ドリルによって開けた穴は必ずしも真円ではない。むしろ3角形か5角形に近く、呼び径より0.1-0.5mm程度大きくなる(新品のドリルの外径公差はh8)。
 2.穴の精度は、ドリルの真直度、刃先の偏心度、ドリルを装着するチャックホルダの精度、工作機械の剛性、工作物の特性などの影響を受ける。
 3.ドリル加工では穴の入り口と出口に必ずバリを生じるので、穴あけ後必ずバリ取りを行う。
 4.ドリルで開けた穴の先端は、図面上では120度の角度で描くが、実際のドリル先端は118度である。
 5.ドリル穴の深さには公差を指示すべきではない。製作と測定に手間がかかるだけである。もし深さに公差が必要な場合はエンドミルを使う。


図 センタードリルの構造

 最終外径のドリルを使う前に、センタードリルを用いて案内用の準備穴を明けることによって穴の精度が向上する。


表 座付きドリルと図面の表記法