土中に鉄管が埋まっており、どちらかの方向に水が流れているらしい(図)。どちらの方向に流れているか、検出できないだろうか。方法として、鉄管を熱して、どちらの方向に熱伝達量が多いかを調べる。すなわち、熱線流速計の大形でラフなものを作る。ある場所を焙(あぶ)って、右か左かどちらの温度が高いか、表面温度計やサーモビュワー(放射温度分布計)で調べれば容易にわかるのではないだろうか。鉄管を叩いたり、超音波のコーンを貼り付けたりして、どちらかの方向の音速が速くなるか調べたら検出できるかもしれない。もっとも、水の流速が音速の1,000分の1程度だと望み薄である。X線を鉄管の上から照射して、水の中に溶け込んでいる放射性物質が流れているのがわからないだろうか。いっそのこと、食道のチェックと同じようにコバルトの液を流せないだろうか。現在、このような検査をするために、手術室に運び込めるような可搬X線装置も実用化されている。(参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッジマネジメント」日刊工業新聞社)


図 鉄管の中を水はどちらに流れているか

【思考演算の説明】
 直接に求めたい物理量が測れなければ、何か別な物理量を加えてそれを測って換算する。