鋼でたくさんの穴のあいたフィルタを作りたい。どうすればよいか。“根性”の方法ではあるが、図の(a)に示すごとく、ボイラの天蓋のようにガンドリルで穴を開けるのもよいし、ガスタービンの羽根の冷却空気穴の加工のように、電解加工で穴を開けてもよい。もっともスマートなのは、船用のフィルタで使われている方法である。鋼線に凹部を塑性加工で付けて、その鋼線を枠の回りに巻き付ける。つまり、たが自体にフィルタの穴が付いているので、高圧にも耐える。同様に考えれば、図(b)に示すように、波形(なみがた)を重ねればよい。空気のフィルタで使われている不織布や、穴の開いたプラスチックを鋼線の代わりに巻き付けても良い。形状の揃った穴として、陽極酸化膜の通電孔は有名である。また、静圧空気軸受けに使われている燒結金属のように、連続的に孔がつながっている材料を用いても良い。(参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッジマネジメント」日刊工業新聞社)


図 鋼でフィルタを作る