研削するときは被加工物をチャック(固定)する必要がある。被加工物が鋼の場合は、電磁チャックを使えるが、非磁性体の場合はワックスや接着剤を用いるが、研削後、これらを洗浄で除去するのが非常に面倒である。なにかよい方法がないか。図に示すように水を凍らせて氷でチャックすればよい。洗浄が楽である。100MPa程度と十分大きい剪断力でチャックできる。しかし、問題は9%の体積膨張である。氷を一方向に凍結(指向性凝固という)させないと、図に示すように最後に凍る部分が膨れて、被加工物がたわんでしまう。
 (参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッジマネジメント」日刊工業新聞社)


図 氷チャック

【思考演算の説明】
 類似の例で、生グラニュー糖を船から迅速に荷下ろししたい、という課題がある。クレーンで荷下ろしすると時間がかかる。上記と同じように相変化を使えばよい。つまり水で溶かして液体にしてからポンプを用いて荷を降し、その後で乾燥させて元の固体に戻せばよい。プラスチックの射出成形の工場では、ペレットと呼ばれる直径・高さとも数mmの円柱に材料を変えてハンドリングしている。プラスチックのドロドロの液体では確かにハンドリングがしにくいので、固体でハンドリングした後、射出成形機の中で再溶解している。