固体表面を柔らかくしたり、保温性を高めたり、など表面を細工することで、別の機能を具現化したりすることができる。たとえば、図に示すように、袋に詰めた気体や液体が、保温性を高めることに有効である。マイクロカプセルの中に、インクやにおい液を詰めて、紙の表面に付けたものは広く売られている。コーヒー用の紙コップとして、表面にガサガサした空気層を含んだコーティング膜を付与したのも使われている。このコップだと熱いコーヒーを入れても手で持てる。動物の体毛も一例であろう。濡れない限り保温性が良い。
 また、北海道では霜が降りそうな時はタイヤを焼いて、煙の微粒子を地面に漂わせて、地面からの放射を防ぐ。同じように、樹脂の表面に粉を含むペーストを塗って、紫外線による樹脂の劣化を防ぐものもある。古いビルの屋上に小石が敷きつめられてあるが、この役目をしている。粉体だけでなく、気体も有効である。空気を吹き出すタービン翼が有名である。また、人工衛星は大気圏再突入の時、セラミックタイルの表面が溶けて気体の層が断熱材になる。(参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッジマネジメント」日刊工業新聞社)


図 表面を細工する

【思考演算の説明】
 固体自身を細工するのが開発の王道であるが、その表面に気体や液体や粉体をくっつけて細工をするのも賢い方法である。