丸棒のねじれは軸方向の変位を考えなくてもよいから簡単であるが、断面が円でないと軸方向の変位を無視できなくなる。図1は粘土に描いた格子縞で変位を示したものだが、四角形の断面が軸方向に変位していることがわかる。この変位(を含む応力関数)は数学的に説明すると、コーシーリーマンの微分方程式を満足し、これの応力関数が分かればねじりモーメントによる応力分布が純解析的にわかる。ここでは、応力関数として調和関数を準備すればよく、純数学的に解くことができる。一般に等角写像で応力が解けるのは、ねじりや曲げのモーメントが働いた時の、それも軸方向の変位を考慮して計算するときだけである。片持ち梁の曲げによる変形も、図2のように、四角形の断面は扇形に変形するので、軸方向の変位を考慮すると解ける。いずれも軸方向と断面平面内の2つの方向との間の剪断の成分、つまりzを軸方向にしたときのxz成分方向とyz成分方向との2つがゼロでない場合に解ける。(参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッジマネジメント」日刊工業新聞社、[2]ティモシエンコ:弾性論、コロナ社(1992))


図 1.四角断面の棒をねじった時の変位[2]


図 2.四角断面の梁の曲げ

【思考演算の説明】
 一般に、2次元の場では、x方向とy方向の応力とxy方向の剪断との3つの成分がゼロでないので、応力関数として調和関数ではなく、重調和関数を準備しなくてはならない。だから“等変位線”・力線を表すことは、本当は数学的に無理がある。しかし、思考演算には適当なので、使える時には使う方がよい