冷房用のクーラは、逆に回せば暖房ができる。また、モータも電源を負荷に付けかえて回してやれば発電機になる。減速機も出力軸にモータをつなげば増速機になる。エアータービンは逆に回せばブロワーになるし、エアーシリンダは逆に力を与えればポンプになる。しかもこれらは、時間分割で一人二役を実現している。実際、家庭用のエアコンは図のように、冷房と暖房(電熱線が入っていないヒートポンプ式のもの)が付いているし、電車のモータはブレーキ時に回生ブレーキと称した発電を行っているし、ガスタービンの発電機は起動時のセルモータとして用いている。おもちゃの“チョロQ”ではゼンマイを巻くときは減速機、走るときは増速機になっている。(参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッジマネジメント」日刊工業新聞社、「雑誌解体新書編集部(第29号)」日刊工業新聞社)


図 冷暖房の原理

【思考演算の説明】
 センサとアクチュエータとを交換するように、装置の出力と入力を交換すると異なる機能が導出できる。また、時間分割とは、機能を発現する時間が離れていて、時間的にタイムシェアリング制御できることを言う。そうすると、例のように、一人二役の機構が構成できる場合もある。