複写機の試作機で、デバックをしていたところ、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)にセットされた原稿が次々と送りこまれ、原稿詰まりが発生した。これを解除するために、図のように、ADFを持ち上げたところ、複写機が誤動作した。最初の、ADFに強制的に原稿が送り込まれた不具合は、制御ソフトのバグが原因で、この不具合によって、ADFの原稿を送るベルトと原稿ガラスとがこすれて、静電気が発生した。その結果、ADFを持ち上げた際に、原稿ガラスが高電位になり、近くの原稿読取用のスキャンユニットに放電し、さらに金属製のレールにも放電し、ノイズが制御基板に伝わり、制御ソフトの不具合の誤動作が発生したと考えられる。対策として、ADFのソフトウェアのバグを修正するとともに、制御用基板の耐ノイズ性を向上した。


図 静電気放電によるノイズの発生

【設計のアドバイス】
 複写機は画像形成のために静電気を積極的に利用する。このため、その放電対策はもちろん必要であるが、紙やベルトの動きで発生する副次的な静電気に対しても、対策は必要である。