高精度のレーザ光学系(図1)を設計したところ、ビームが2つに分かれる、という原因不明の不具合が発生した。この時、すべての部品の単品精度はOKだった。熱変形が問題なのかなあと思って、ドライヤーでそれぞれのレンズを加熱して、たまたま平面ミラーを加熱したら不良が再現できた。結局、高精度な曲面を有しておらず、加工が最も楽な平面ミラーが原因だった。つまり、バネで支点のまん中を固定するとそれが凹に変形し(図2)、変形分が球面収差に影響を及ぼし、結果としてビームが2つに分かれた。対策としてバネを2つ用意して、支点のところを押さえることにした。


図 1.光学系と結像ビーム


図 2.平面ミラーの固定方法

【設計のアドバイス】
 部品の名称や印象にとらわれると、真の原因を検討する際に判断をあやまる。本例では高精度な曲面を有するfθレンズやシリンドリカルレンズの変形に気をつかっていて、平面ミラーがノーマークだった。簡単な部品だから大丈夫というような、先入観に基づく予断は禁物である。