ドーザショベル機を使って、リフトアームを上限位置で止めて土を削っていた。この時に図1(a)に示すように、チルトレバーがリフトアームに対して回転する時の、支点のリンクピン(支点ピンと称する)が折損した。折損位置は図1(b)に示すようにちょうどグリス開口穴の位置で発生しており、破断面には、応力がかかった方向に特徴的に発生する“ビーチマーク”が観察できた。穴が開くことで剛性が低下し、開口穴のエッジに応力が集中した結果、そこから小さなクラックが発生し、繰り返し応力によって破断が進行したと考えられる。図1(b)に示すようにφ60の支点ピンには、中央にφ8.8ミリのグリス穴と、グリスを摺動面に補給するためにφ8.8ミリの半径方向にあけた穴と、軸回り止め用のボルト穴と、の3つの穴があいている。実際にはこの開口穴が、負荷を受ける方向に対して、図2に示すように45度の方向で組みたてられ、負荷に対し強度低下を生じさせた。対策として、開口穴を45度ずらし、穴径をφ6と小さくした。その結果、穴は負荷方向に対してほぼ直角方向に位置することができ、破断は生じなくなった。