SYDROSE LP,"dfM in Japan" の情報ハブ,ホスティング

Oct. 6, 2005, Tokyo Japan -- スタンフォード大学,石井浩介教授の呼びかけに呼応し, 港区西新橋にある日立製作所 総合教育センタ 技術研修所において,dfM in Japan の第1回会合が開催された. 今回の第1回会合は長く ME317 をライセンスしている日立が幹事となったが,参加企業が持ち回りで今後も続けていく方針だ. 現参加企業は,過去に ME317 をライセンス受講,あるいは現在受講を続けている東芝,トヨタ自動車, 日産自動車,荏原製作所,ソニー,日立製作所 の各社と,新たに中小企業向けに ME317 をライセンス, 少人数でも受講できる契約をスタンフォード社会人能力開発センター(Stanford Center for Professional Development(SCPD))と提携した SYDROSE LP である.SYDROSE LP の今年度受講団体としてプラックスも会合に参加した.

   開会後,石井教授の特別講演があり, 20年間に亘るスタンフォード大学で提供されてきた dfM 教育について, 故フィル・バーカン名誉教授の話題や,最近の新たな dfM 分野の開発についても紹介された.
   続いて各社が取り組んでいる dfM 教育について発表した.SYDROSE LP では, SCPDと契約を交わし,少人数でもこの受講できる環境を整え, 教材と講義も含め,100%日本語で提供している新しい取り組みを紹介した.

   今後も "dfM in Japan" の会合を定期的に継続していくことで全会一致した. また,会合規模は現状を維持しつつも,スタンフォード大学による dfM,ME317 の提供について, 日本での認知度を高めたいという希望や,その提供形態について,各社からの要望も討議された. SYDROSE LPは,dfM in Japan のホームページ(http://www.sydrose.com/dfM/) をホスティングすることになった.

   日本は,そのバブル期をピークに『人ベース』のもののやり方が成功した.しかし, ここに来て産業事故や不祥事が絶えないのも,指数的に増えている情報の渦の中で『信頼』, 『注意力』といった人ベースのやり方ではもはや通用しなくなってきているからだ. ISO9000シリーズの認定を受けてもその本来の目的に添って業務を動かさなければ意味がない. 今後は系統的に手法をもって品質を生む企業が生き残っていくだろう.
(いいの・けんじ)

* dfM: Design for Manufacturability. 元来, 『設計時には生産可能な設計をするべき』という考え方から生まれた設計指針.当初, 製造現場と疎遠だったアメリカの設計部門に対して, 設計・製造が一体となって製品開発を進める日本のやり方に学ぼうと, バーカン教授によりスタンフォード大学の大学院教育に取り入れられた.その後, 組み立て(Assembly),保守(Serviceability),多様性(Variety),環境(Environment), 信頼性(Reliability),品質(Quality)など,設計(企画)時点で考慮すべきことを広く Design for X として包含するようになったが,スタンフォードでは dfM と呼んでいる.
* ME317: スタンフォード大学,機械工学科での石井教授による dfM を中心とした, 大学院生・社会人を対象とした講座の番号.dfM の他に品質機能展開,概念の発生, シックスシグマ,損傷モード解析など,現代の製造事業において, 設計者が知らなければいけない手法を総括的に教えている.特に日本では意識されることが少なく, 設計者も苦手とする『製品定義』と,系統的手法によって如何に『品質』を設計段階で生み出すか, 日本の製造業界が学ぶべきことは多い.