プラスチックはおもに、液体と接する部材、滑り面、軽くしたい部分、透明性を要する部品、騒音を嫌う箇所、美観を要する部分などに用いられる。しかし非常に多くの種類が存在し、外観も同じような材料が多いため、設計の初心者にはなかなか選定の判断が難しい材料である。ここでは射出成形に利用するプラスチックは除外して考え、通常の機械加工(切削)が行えるプラスチックを対象に考える。
プラスチックを設計に用いる場合は以下のことに注意を要する。
寸法と形状に関して:(a)エンジニアリングプラスチックと呼ばれる通常のプラスチックは、その大半が金属とほぼ同様に切削加工を行うことができる。(b)プラスチックは金属よりかなり大きな熱膨張を示すため、特に金属との接点部分では膨張差に注意を払う。(c)プラスチックにあまり高い寸法精度は期待できない。その理由として、まずプラスチック自体高精度の加工が難しいことと、加工後の経年変化、熱膨張、膨潤などで寸法が変化することが挙げられる。
加工に関して:(a)剛性がかなり低いため、加工時に工具を押し当てる力で材料が変形してしまい、高精度の加工ができない。(b)表面粗さは平溶にしても▽▽▽までである。(c)接着、熱や超音波による融着、熱による曲げ変形が容易である。