機械部品の形状はしばしば幾何学的な精度を必要とし、単に寸法公差を指定するだけでは不十分な場合がある。その場合、寸法公差以外に幾何公差を指定する。幾何公差は所望の幾何形状、姿勢、位置に対する許容偏差として与える。しかし作る側にとって、幾何公差は寸法公差に比べて、難物である。まず幾何公差の正確な計測が難しい上に、計測装置も一般的に高価である。したがって幾何公差の指示は、必然性のないとき以外は極力使わないようにすることが望ましい。数値で幾何公差を指定するよりは、むしろ必要な精度を確保できるような加工方法を指示する方が、簡単かつ経済的である場合が多い。
これらの値は、経験的に推奨する値を示しており、規格値ではないので注意する。円筒度の場合は長さによらず、直径公差の4分の1程度、真円度も同様である。同軸度は軸が長くなるに連れて難しくなるが、直径公差の1−2倍程度が妥当な選択である。