1982年8月20、21日の両日、大阪府堺市のダイセル化学工業(株)のAS(アクリロニトリル・スチレンの共重合体)樹脂製造工場で爆発事故が発生した。特に21日の2次爆発では、従業員6名が死亡したほか、広範囲にわたって付近の住宅に損害を与え、住民にも多くの負傷者をだした。
 原因は、まず重合缶の攪はん機が故障して回転異常が起き、電磁開閉器の焼損・修理等のために電源遮断に陥ったことである。このため重合缶の冷却ができず、AS樹脂原料のモノマーがガスとなって大量発生し、ダクト内で爆発した。この1次爆発の保全のため移送待ち状態になった混合槽内の原料が、常温で40時間経過した後に、暴走反応を起こして2次爆発が発生した。
 撹拌機の故障や停電がおきても重合反応を停止できる非常用冷却システムがなく、このような異常発生時の処理マニュアルもなかった。また常温でも時間がたつとモノマが暴走反応を起こすことを知らなかった。
 引用文献〔1〕堺市高石市消防組合:ダイセル化学工業(株)堺工場樹脂製造工場爆発火災事故調査報告書(1983)
     〔2〕上原陽一、小川輝繁監修:防火・防爆対策技術ハンドブック、(株)テクノシステム(1994)


図 爆発後の工場全景〔2〕


図 1.被害範囲


図 2.爆発による死傷者の状況

【設計のアドバイス】
 普段から事故に対するシミュレーションと教育・訓練が大切である。

【非技術的背景】
 常温でも時間がたつとモノマが暴走反応を起こすことを関係者は知らなかったが、このような無知から、事故は起こることがわかる。また、現場からの情報が十分でないまま関係者が消火に駆けつけたため、犠牲を大きくした。