1986(昭和61)年12月28日13時25分頃、山陰本線余部鉄橋を、福知山発浜坂行下り回送列車(機関車1 両+和風客車「みやび」7両)が走行中、突風にあおられて客車7両が約41m下に転落し、水産加工工場と民家を直撃した。この事故で車掌1名と水産加工工場女性従業員5名が死亡し、数人のけが人が出た。
余部鉄橋では、風速25m/s以上で運転中止することになっていた。鉄橋両側に自動風速発信器があり、列車集中指令装置(CTC)指令室の赤ランプが点灯し、警報が鳴った。指令員は鉄橋近くの駅に問い合わせ、判断を遅らせている間に、回送列車が鉄橋に進入し、最大風速33m/sの突風を受けて、7両の客車すべてが転落した。
事故後、図1のように、センサと信号との間に介在していた人間を排除し、センサと信号機とを直結して自動化した。
引用文献〔1〕朝日新聞縮刷版1986-12
〔2〕佐々木冨泰・網谷りょういち:続・事故の鉄道史、日本経済評論(1995)
【設計のアドバイス】
安全装置の制御ループの中間に人間の判断を入れないこと。
【非技術的背景】
安全装置の制御ループの中間に、人間の判断を介在させることの恐ろしさがわかる。人間は信号を無視できる。単線鉄道で運転士が信号を無視すると正面衝突が起こる。