まわり止め座金を用いてねじがゆるまないように設計したのに、吐出弁の固定ボルトが次々にゆるんだ。
レシプロ圧縮機の吐出弁としてリード弁を設計し、弁ボルトのゆるみ止めのために、折り返し部のある回り止め座金をはさんだ。しかし、まわり止め座金が圧縮時の内圧上昇による衝撃力によって塑性変形したため、固定ボルトの締め付け軸力が減少してゆるんだ。
【設計のアドバイス】
ボルトに外力が加わる場合は、あらかじめ接触面が塑性変形するまで締めこんでおくとよい。しかし、一緒に固定するために締め付けた部品が外力によってさらに塑性変形して薄くなると、ボルトの締め付け軸力が小さくなってボルトはゆるむ。このように座面強度は設計するときに重要で、とくに面積の小さい座面、焼きのはいっていない柔らかい座面では大きな塑性変形が生じるので要注意である。
また、座面の面粗さも重要で、本例で仮に弁りテーナの表面が凹凸していると、弁ボルトの締め付けトルクをいくら大きくしても、摩擦が大きいので締め付け軸力の増加に結びつかない。
なお、ボルトのまわり止め要素として、たとえば、ばね座金、舌付座金、菊座金、プラスチック爪付ナット、嫌気性接着剤などいろいろあるが、いずれも振動があるところではあまり信用できない。