タップは、ドリルで明けた下穴にめねじを加工するための工具である。ドリル同様、材質は高速度鋼か超硬合金である。設計の観点から以下の点に注意を要する。
 1.ドリルで大きめの穴が明くことを念頭において下穴径を選択すべきである。例えばM6のねじの下穴は5.08mmであるが、呼び径5.0mmのドリルを用いると約5.1mmの下穴があく。加工者は、後のタップ作業を簡単にするためにできるだけ大きな下穴をあけたがるものである。
 2.タップ立ての作業は人手か機械で行う。タップには、前タップ、中タップ、仕上げタップの3種類がある。機械でタップを立てる場合は中タップを用いて1回で明けてしまう。これは機械で何度もタップを同じ場所で繰り返すと、位置ずれの問題からねじを壊してしまう可能性があるからである。小径のタップ立ては人手で行うことができる。この場合は、前タップ、中タップ、仕上げタップの順に使用する。タップは過負荷をかけると比較的簡単に折れてしまうので注意を要する。作業中に折れるとこれを除去するのは大変で、放電加工で溶かしだすこともある。
 3.めねじ用の下穴は十分な長さを取ること。さもないとタップの不完全ねじ部が十分に奥まではいっていかない。下穴の長さは、必要なねじ部の長さに最低でもねじの5ピッチ分の長さを足した長さにするべきである(不完全ねじ部がはいるために1.5-3ピッチ、タップの回転が止るための空間に1-3ピッチ、切り屑のたまる空間として1-2ピッチ)。
 4.通し穴のタップ作業が最も簡単である。一方、止り穴の場合、切り屑の堆積が起こりやすく工具の破損も起こりやすい。


図 タップの各部名称


図 タップ穴加工の手順


図 タップの構造