コーンフレークなどのシリアルの生産に用いられる穀物には、さまざま虫の幼虫が含まれている可能性がある。幼虫を殺すためには65℃まで加熱する必要がある。しかし、穀物は70℃から劣化し始める。高精度の温度管理を行う穀物加熱システムは高価であるし、あまり生産性が高くない。信頼性と生産性の高い害虫駆除の手法が必要とされているが、よい方法はないか。キュリー点を65℃に持つ強磁性の粉末を穀物に混ぜる(図1)。この粉末は電磁インダクタンスコイルで、この温度まで加熱されるが、その後は電磁加熱の強さは約1/4に減り、全体の冷却が始まる.温度が64.5℃まで下がると、 再び加熱サイクルが始まる。処置が済んだ後、強磁性の粉体は磁石を使って容易に取り除くことができる。(参考文献:実際の設計研究会編「TRIZ入門」日刊工業新聞社)


図 穀物に強磁性微粒子を混ぜる

【思考演算の説明】
 高精度な温度管理のための複雑なシステムを、定められた温度範囲を保つ能力を持った物質に「畳み込む」ことができるならば理想的である。ここでは、その温度で強磁性が磁性を失うという「キュリー点」前後の遷移というアイデアを活用した。