駆動側と被駆動側とを結ぶ、板・棒・梁の弾性変形を利用することで、ガタやバックラッシュをゼロまたは極めて少なくでき、線形性に優れた微小運動伝達機構が実現できる。なぜならば、駆動側と被駆動側との間に、軸受やリンクなどの遊びが生じやすい付加的な機械要素を含まず、また通常の金属材料では弾性変形が線形的に起こるためである。一般的に材料のせん断変形やねじれ変形を利用したものが多い。


表 各種の弾性変形を利用した微小運動伝達機構

【設計のアドバイス】
 所望の変位を被駆動側で実現するには、一般的に弾性変形が生じる結合部を、極めて薄肉または細径に設計する必要がある。したがって、弾性変形部における応力の、分布や大きさを正しく把握することが極めて重要である。構造が簡単な場合は、単純化したモデルを用いた設計計算で間に合うが、駆動側と被駆動側の変位が大きく異なる場合(変位拡大率>>1)、構造が複雑になるので、有限要素法を用いて変位および応力解析することが望ましい。