防錆と高軸力が必要なので、電気メッキした高強度ボルトを使用していたが、このボルトが破損した。ボルトの製造工程を調査したところ、電気メッキ後の脱水素処理を忘れていた。鋼は水素を吸蔵すると脆化する性質を持つ。水素吸蔵に起因する鋼の割れを、水素脆性による遅れ破壊という。電気メッキ実施後は、すみやかに表のベーキングをおこない水素脆性を除去する。


表 水素脆性除去処理条件

 一般に遅れ破壊は、高強度材料、高応力、拡散性水素の存在が、発生条件と言われている。