油冷却器の冷却管内面の拡管部近傍に、図のようなクラックが発生した。冷却管の材料はアルミニウム黄銅で、冷却水は河川水であった。河川水を調査したところ、アンモニアを含んでおり、アンモニアによる腐食に冷却管の拡管加工時の残留応力が加わり、応力腐食割れを起したものである。参考資料:住友金属技報Vol.1,No1(1963)P48〜58
【設計のアドバイス】
黄銅系合金はアンモニア、アミン、水銀塩および硫黄などの水溶液中で応力腐食割れを起す。特にアンモニアでの例が多い。応力腐食割れが発生するまでの時間Tは次式で示される。1/T=(NH3)(H2O)(Air)(S)(ALLOY) ここで、アンモニア濃度:(NH3)、水分の濃度:(H2O)、空気の濃度:(Air)、応力の大きさ:(S)、合金の割れ感受性:(ALLOY)である。環境コントロールが困難な河川水使用冷却系には耐腐食性の脱酸銅、キュプロニッケル、チタンなどを経済性を考慮して選定する。