厚板をロール圧延後、900℃で焼き鈍し(やきなまし)した。それを100〜150℃で予熱しながら半円筒部材を、図のように、プレス曲げ加工して、最後に長手方向に溶接した。ところが内面の溶接部近傍の母材部に音響とともにき裂が発生した。


図 厚板半円筒部材の溶接時のき裂

 厚板を曲げ加工すると、大きな残留応力が残るとともに加工硬化で靱性が低下する。この状態で溶接すると、溶接がもたらした熱応力によって、ロール加工傷やプレス加工傷を起点として脆性破壊を起こすことがある。必ず溶接の前に焼き鈍して、残留応力を除去し靱性を回復させる。また製造時の残留応力を考慮して強度を評価することが大切である。