電気ヒータ・エレメントのアルミ製のフィンが導電板と接触し、漏電した。また、フィン中央部にき裂が発生していた。図のように、アルミ製のフィンは鉄製のパイプに挿入される。アルミは熱膨張率が鉄の2倍である。通電すると、フィンが熱膨張で軸方向に伸びるとともに、径方向にも膨張する。通電を停止すると、エレメントは冷却されるが、熱膨張率が大きいフィンが内側の鉄パイプに密着したままで、軸方向は元の位置に戻らず、塑性変形して伸びたままになった。通電と通電停止を繰り返すと、フィンが少しづつ伸びて、ついに導電板と接触し漏電に至った。また、フィン中央部の引張応力が許容応力を超え、き裂に至った。


図 電気ヒータのアルミフィン部構造と不具合状況


図 アルミフィンが伸びるメカニズム

【設計のアドバイス】
 鉄は10cmが1℃につき1μm伸びる。アルミは10cm、1℃、2μmである。アルミを鉄の外殻に配置すると、そのはめあいは緩くなり、逆にアルミを鉄の内殻に配置すると、はめあいがかたくなり、最後はかじる。