材料に作用する繰返し応力は、応力振幅と平均応力で表される。平均応力には、回転による遠心力や溶接による残留応力なども考慮する。引張りの平均応力は、材料の疲労強度や疲労寿命を低下させ、また繰返しに伴う変形を増大させる。疲労強度に及ぼす諸因子の中でも平均応力に起因した疲労破壊例は数多く、切欠き効果と同様に注意すべきである。参考資料:(1)金属材料疲労設計便覧(日本材料学会)(2)金属の疲れと設計(コロナ社)
疲労限度には、各種の線図があるが、修正グッドマン線図は安全側の評価であり、最も広く利用されている。横軸の交点として、破断応力が一般に用いられ、切欠き材の振幅、平均応力ともに応力集中係数を1とした公称応力値が用いられる。
Al合金の平滑材と切欠き材の疲労限度の例である。
【設計のアドバイス】
平均応力は機器固有の応力であり、軽減することが困難な場合が多い。そこで平均応力の高い部位には応力集中させない設計にする。平均応力をアップするためには圧縮の残留応力を、ショットピーニングなどで付与すればよい。また溶接による残留応力は焼鈍(やきなまし,SR)で除去する。