固体金属が液体金属と接触しているとき、引張または剪断応力で脆性破壊することがある。脆性は、液体金属が表面から結晶粒界に拡散浸透し、金属化合物を作るためである。一般に、破壊は塑性変形した後に、残留応力や外的応力で、主応力軸に対して直角方向に発生する。また結晶粒度が大きい程、負荷速度が大きいほど、低い応力で破壊する。図は脆性破壊の事例である。参考資料:(1)金属の割れ破損(経営開発センター出版部)(2)材料強度工学ハンドブック(朝倉書店)


図 水銀接触での70/30黄銅の粒界割れ

 たとえば鋼はIn,Li,Cd,Zn,Teの液体金属下で脆性を起こす。一方、アルミニウム合金はHg,Ga,Na,In,Sn,Znで脆性を起こす。


図 銀ろう接触でのステンレス鋼の粒界割れ

【設計のアドバイス】
 液体金属が接触している場合は、曲げ・ねじりなどの塑性加工は行わない。やむをえない場合は、加工速度を遅くしたり、加熱温度を上げる(高温で延性が回復する場合がある)。なお、加工後は非破壊検査等でクラックの有無をチェックする。