クラッド鋼は、強度を受け持つ軟鋼や低合金鋼を母材として、その表面に主に耐食性、耐摩耗性などの機能を有した材料(合わせ材という)を組み合わせたもので、石油精製や化学工業における反応容器、ケミカルタンカー、海水淡水化装置などの構造材として広く使われている。クラッド鋼の溶接方法は、表のように、合わせ材の材質により選択する。溶接の継手形状の例を、図1に示す。溶接順序は、図2に示すように、母材側の溶接を行なった後に合わせ材の溶接を行なうのが一般的である。母材の溶接は、合わせ材を溶かさないように境界部でとくに注意する。合わせ材の溶接は、境界部での母材希釈をできるだけ少なくする。オーステナイトステンレスクラッド鋼の場合は、合わせ材第1層目はCr、Ni含有量の高い材料(SUS309)を用いる。また、合わせ材がCuやCu合金の場合はニッケル合金系溶接材料を用いる。(参考文献:「溶接便覧」溶接学会編、「接合・溶接技術Q&A1000」産業技術サービスセンター、「ステンレス鋼溶接作業基準」ステンレス協会、「新版 接合技術総覧」産業技術サービスセンター)


表 クラッド鋼における各種溶接方法の適用


図 1.クラッド鋼の突合せ継手形状の一例


図 2.クラッド鋼の継手溶接手順

【設計のアドバイス】
 オーステナイトステンレスクラッド鋼は、母材と合わせ材との熱膨張差が大きいため、熱処理はできるだけ実施しない。溶接時の予熱は母材に必要な温度で行なうが、合わせ材の溶接の時には予熱は行なわない。固溶化熱処理は行なわず、後熱処理も極低炭素ステンレス鋼の場合を除いて行なわない。