金属を水溶液中で使用した場合、金属材料の不均一性(結晶粒界、結晶粒の大きさ、応力場、残留応力など)や、環境条件(電解質、酸化剤、ごみ、スケールなど)によって、図のように、金属表面に局部的に陽極部と陰極部が発生し、電池作用で陽極部に相当する部位が腐食する。表1は電池構成の一覧である。異種金属が接しているときも、両者の使用環境での自然電位の違いにより、局部電池を作り電位の低い金属(卑な金属)が腐食する。海水中での金属および合金の自然電位列を、表2に示す。耐海水用材料としては、海水中での耐食性の高いアルミニウム黄銅(Cu-22Zn-2Al-0.2Si-0.04As)やキュプロニッケル(90-10,70-30 Cu-Ni)などの銅合金、チタンが主に用いられる。(参考文献:「奥田繁 監修 防食技術ハンドブック」化学工業社、「海水サービスの腐食と対策」涛川ほか、vol.21,No.5(1998))


図 局部電池生成の概念


表 1.電池の構成一覧


表 2.海水中での金属・合金の自然電位列

 電位は、海水の流速13ft、25℃の値である。

【設計のアドバイス】
 ステンレス鋼は耐食性があるが、海水中では孔食やすき間腐食などのトラブルがあり、2相ステンレスでも流速、温度の管理が欠かせない。オーステナイトステンレス鋼(SUS304)は、海水中で使用しないほうがよい。