複数の溶接継手で構成された溶接構造物は、溶接順序が大切である。熱変形、拘束による変形および残留応力による溶接欠陥のでない順序にする。たとえば、収縮変形をなるべく自由端に逃がすため、中央から自由端に、下から上へ組み上げる。また溶接変形(仮付片面だけに溶接が凝固、収縮するために生じる反り)を少なくするために、溶着量の多い部分から先に溶接する。たとえば図1のようなI形ガーダを現場溶接する場合、フランジ相互の突合せを先に、ウェブの突合せを次に、最後にウェブとフランジのすみ肉を行う。著しい拘束応力を避けるため、図2のように全長多層溶接せず、溶接部分を分け、それぞれを表面まで個別に仕上げる。また図3のような溶接では、未溶接継手を通り越しての溶接は避けて、溶接欠陥を防止する。参考文献:「溶接・接合便覧」溶接学会編、「溶接技術の基礎」溶接学会
図1(b)のように、すみ肉から溶接し、フランジの溶接を最後にすると、フランジが溶接変形しようとしてウェブをはさんで押すため、座屈変形する恐れがある。