板金加工後に表面処理するよりも、表面処理鋼板を板金加工した方が、コストが安くなる。打ち抜いた時の破断面や、曲げた時の加工傷の所に錆が出る恐れがあるが、それが製品として問題がないのならば、積極的に表面処理鋼板を用いた方がよい。


図 板金と防錆、どっちが先?


表 板金加工してから防錆するものと、防錆鋼板を板金加工するものとのコスト差

 プリンタなどの事務機器の板金材料として、表面処理鋼板を使ったら、大きなコストダウン効果を上げられた。具体的に、1)材料の大きさ:100mm×100mm×t1.0mm、2)加工工程:打ち抜き1工程、曲げ1工程、という部品を例に取って比較して見ると上表のようになる。材料費は処理鋼板の方がやや高いが、表面処理が後でない分、トータルコストは約1/3弱と非常に安くなる。1万個作るとすれば1部品で約29万円のコストダウンになる。同じような板金部品が50個あるとすれば、1460万円のコストダウンになる。

【設計のアドバイス】
 処理鋼板を使う時は、適材適所を心がけるべきである。上記のプリンタでも、紙が通るガイド板には、現在でも曲げ加工後に表面処理したものを用いている。なぜならば、曲げ傷による錆が紙の搬送に影響するためである。表面処理鋼板には塗装鋼板もあり、家電製品に広く使われている。

【思考演算の説明】
 板金加工と表面処理とを、時間的に前後交換して検討した。