板金部分を締結する時に、部品のRに座金や首下部が乗り上げたり(かつがれたり)、打ち抜きバリと部分接触すると、時がたつとボルトにゆるみが発生する。

図に示すようにボルト端部やナット端部が、板金部品の曲がりのR部に隣接していたが、かまわず所定の締付トルクで締めた。局所的な金属の接触によって摩擦係数が高くなり、見かけ上、締付トルクは大きくなるが、締結軸力を発生することには寄与していなかった。結果的にこれを使用すると、部分的に接触面圧が高い部分で応力緩和(へたり)が発生して弾性応力が減少し、ボルトは緩む。また、外力に対しても、接触部分が局所的に受けるのでさらに局所的変形が進行し、その結果、軸力が減少していく。板金の曲げ加工精度やボルトの“バカ穴”の位置精度は、一般に±0.5mmと大きいことが多い。ギリギリにつめた設計をすると、本事例にような失敗をする。なるべく曲がりR部からボルト穴を離した方がよい。
【設計のアドバイス】
同様に、打ち抜き時の穴部エッジのバリによっても、軸力低下を招く。バリが経時的に潰れていくとともに、摩擦面積が減り軸力低下となる。この際、打ち抜き時にかえり・バリを生じないように、仕上げ処理することが必要である。たとえ締め付けトルクを管理しても、軸力変化を生じさせる部分的接触には注意が必要である。部分接触は必ず経時的に摩擦力の変動を生じ、ねじが緩んで締結物が落下するという事故につながる。以前は、“バネ座金を用いた締め付けで緩まない”との伝説があったが、バネ座金も本例のような部分接触を起こしていることが多いので、最近では、首下部の弾性変形すべき長さを確保して、ねじ締めで締結軸力を管理するようになった。また、初期の接触面の塑性変形の“へたり”に対する対処法として、“増し締め”と称して初期一定期間たった時点で、全てのネジを締め付け直すこともよく行なわれている。